■ リズムを学ぶ前に

クラシックピアノを長年習ってきた人がバンドでみんなと合奏した時
なぜか自分だけリズムが合っていない事に気づきます
これは私も昔痛烈に実感した事であり、誰もが味わう実体験です
音楽の三要素の1つである「リズム」
このリズム感が欠落しているからに他なりません

ポップスやスタンダードを独奏したり、バンドで合奏する場合には
とても重要になるので、しっかりとリズム感を養って下さい
リズムは頭で理解するだけではダメで、身体に覚えこませる必要があります
楽器の上手なプレイヤーは「ノリ」も良いものを持っています

では練習方法です
メトロノームはテンポキープだけの練習なら良いですが「ノリ」は養えません
勿論テンポ通りに演奏する練習は大事です
しかし、「ノリ」を養う練習にはメトロノームは役立たずで、むしろ邪魔です
苦手なフレーズや、速弾き練習をする時くらいに使用するのが良いでしょう

ではメトロノームの代わりに何を使うのか?
昔で言うリズムボックス、今ではドラムマシン・リズムマシン等の名称で販売されてます
まずドラムの音を感じ(特にベードラ)、ドラムと一緒に演奏するのが理想です
逆に言うとドラム音を感じない練習をいくらしても「ノリ」は養えないと言う事です
バンドではなくソロで弾く人も「ノリ」は必要ですので同じ練習をして下さい

スマホのアプリでも無料のがけっこうあるみたいですが
ベードラの低音部が感じとれる音響が必要です
市販のハード商品でもけっこう手頃な価格で販売しているようですが
買う時には単体で音が出るか、スピーカーがついているかを確認して下さい

ある程度の音量を出して練習するのも「ノリ」を得るために大事な事です
環境によってはヘッドホンでも良いので、それなりの音量でリズムをしっかり感じて下さい
本物のドラムに近いものと合奏するという練習環境を確立して下さい

余談ですがリズム感が良くなればカラオケでの歌唱も変わります
楽器だけではなく歌手もリズム感やノリの良い人ほど上手に聞こえます

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■ ドラムマシンを使った練習法

まず一番ノーマルな8ビートを鳴らしつつ左手だけベードラに合わせて弾いて下さい
下記ドラム譜の@です(ドン・ト・ドン・ト 〜)
ベードラとジャストで弾いた時にベードラの音が消えるはずです
ピアノなどの楽器がない時は手拍子でも何かを叩いてもOKですよ

ピアノがあるのならドラムマシンを鳴らしながらクラシック曲を弾いてみて下さい
「エリーゼの為に」でも何でもいいです
最初は笑っちゃうくらい全然合わせられないと思いますが
何日か練習していくとクラシックがポップス的に変化します

最初は時間がかかるかも知れませんが、ここを打破しないと始まりません
根気よく続けて練習して下さい

とりあえずネット版の簡易ドラムで試してみて下さい



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■ Beat(ビート)

リズム感のある現代音楽には必ず 「Beat」 があります
この 「Beat」 の基礎となる楽器がドラムです
ドラムセット図の@ABをドラムの譜面と照らし合わせて説明します



@ ベードラ(別称:ベースドラム、バスドラム、バスドラ、キック)
A スネア(別称:スネアドラム、サイドドラム)
B ハイハット(ハイハットシンバル)




以下はドラム譜の読み書きの参考まで
Cシンバル
Dハイタム
Eロータム
Fフロアタム

  


このドラムが1小節内で構成される音符の種類で曲の「Beat」が決まります


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8Beat(エイトビート)はリズムの基本です
16Beat(ジュウロクビート)はその応用と考えて下さい
両者を譜面で比べてみましょう

ここで間違わないでほしいのが1小節内のハイハットの音符でBeatが決まるわけではないという事です
基本的にはベードラの譜割りで分類します
ベードラの一番短い音符が「八分音符=8Beat」「十六分音符=16Beat」と覚えて下さい
但し8Beatの曲の中で「fill in」的に十六分音符を使われる場合はこの限りではありません
下図のパターンの違いをよく覚えておいて下さい

※ ロック系のプレイヤーがハイハットの叩く数でBeatを分けているのを見かけます
  それはそれで間違いではないのですが、ここではあくまでも「Beat」として説明しています




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3連(サンレン)は1拍を3連符で3つに、1小節を12分割したBeatです
数から言うと12Beatですがそうは言いません
遠い昔のドンカマでは「Slow Rock」という表示もありましたが今では死語ですw

1小節を12に分けるので8分の12でも同じなのですが
譜面上では3連符の表示の方が見やすいので4分の4で書くのが普通です


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Shuffle(シャッフル)は3連の3連符の真ん中を抜いてハネるようなBeatです
このハネる事を 「バウンズ」 と言います(バウンドをさせる意)
比較的速いテンポで演奏されます


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2Beat(ツービート)は定義が曖昧というか、捕らえ方で解釈が異なるのですが
ここではわかりやすく「マーチ」のリズムで紹介しておきます


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4Beat(フォービート) は 8Beat等とは捕らえ方が大きく異なります
大まかに言うと「スウィングジャズ」です
図ではスネアが2拍4泊目に記入していますが、基本その位置では叩きません
プレイヤーのセンスでフィルイン的にスネアを入れます

※ ロック系のプレイヤーが「8Beat」の手数が少ないのが「4Beat」と称していますが
  一般的にはジャズ系の「演奏形態」を差します


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Disco Beat(ディスコビート)
ベードラが4分音符で均等に4つ打つので「よつ打ち」とも呼ばれています
ディスコミュージックによく使用される躍動感のあるリズムです
ハイハットは主に8分音符か16分音符で刻む事が多いです


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16Beat Shuffle(ジュウロクビート シャッフル)
通常の「Shuffle Beat」は「8beat」をバウンズさせたものだとしたら
これは「16Beat」をバウンズさせたBeatと言えますが、
1小節を24分割した単位でベードラを刻むのが特徴です
ハイハットはバウンズさせずに4分音符か8分音符で刻むのが普通です


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ここまで説明してきた8つの「Beat」を簡単に録音しました
それぞれの「Beat」を比較してみて下さい



なおこの「8Beat」等の呼び名は和製英語で日本でしか通じません
英語では「8th notes feel」 と言います


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■ リズムの専門用語

アタマ : 音の立ち上がり、出だしの位置

オモテ : 4拍子を「1と2と3と4と」と声に出した時の「数字」の音、「強拍」「Down Beat」
ウラ : オモテの逆で「と」の音、「弱拍」「Back Beat」




食う : フレーズをオモテではなくウラの位置から始める奏法(アンティシペーション)



シンコペーション : いくつかの音を「食う」奏法、切分法(せつぶんほう)



タメル : 後ろに引きずるくらいの気持ちで演奏する事、「重いリズム」になりがち

ツッコム : タメルの反対で前につまずく感じで演奏する事、「軽いリズム」
      また、「食う」の同意語としても使われる

モタル : 気付かないうちに「タメル」状態になる、ジャストのテンポより遅れる

ハシル : 気付かないうちに「ツッコム」状態になる、ジャストのテンポより先に行く

バウンズ : シャッフルビートのように音を跳ねさせる事、バウンドをさせる意

グルーブ : いわゆる「ノリ」の事

リズム隊(リズム体) : バンド内でのリズム担当、主にドラムとベースの事

3リズム : ドラム+ベース+ピアノ、もしくはドラム+ベース+ギター

4リズム : ドラム+ベース+ピアノ+ギター


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■ 編曲や伴奏のために

編曲はともかく、伴奏について少し説明しておきましょう
とある曲を伴奏する事になったとして、あなたは何をどうしますか?
簡単にまとめてみると、
■ イントロ制作 ■ メロにコードをつける ■ 間奏制作 〜 ■ エンディング制作
こんな感じかと思いますが、何か大事な事を忘れています
それはといえば 「リズム」 です
その曲を 8Beat にするのか 16Beat なのか、はたまた3連にするのか?
それを決めるのはあなたなのです!
もちろん、そのBeatの弾き方を覚える事が最低条件ですが、
それが出来たとして、その先はどんな「ジャンル」でまとめあげるのか?
という、選択をする必要があります
ピアノソロでもバンド演奏でも、「ジャンル」は大事です
簡単に言えば「ジャズっぽく」とか「ラテンっぽく」とかよく言いますが
各ジャンルの弾き方はそれぞれ特徴があり難しいです

このあと、「主なジャンルの弾き方」で詳しく説明していきます


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■ ジャンル

基本的な主な「Beat」は先に説明した通りです
これらを組み合わせたり、変形させたりして色々なリズムを作ります
また構成する楽器や演奏形態により様々な「ジャンル」に分類されます

この「ジャンル」ですが、果てしなく多いです
リンクを貼りましたので<wikipedia>で見て下さい
イヤになるほどありますね

しかし曖昧なジャンルも数多くあります
「フォーク」「フォークロック」「ロック」「ハードロック」「ヘヴィロック」「ヘヴィメタル」「メタルコア」
順番にハードっぽくなっている気はしますが、区別がつけるのが難しいし定義も曖昧です


機会があれば各ジャンルのピアノの弾き方をUPする予定ですが、説明が難しく手間取っています
まとめ次第UPしますのでお待ち下さい






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