皆さんは作曲する時に「曲の構成」を決めているでしょうか
決めてないという方は一度「構成ありき」の作曲を試してみてください
メロ先の場合は選択さえすればどのパターンでもすんなり進行します
もちろん途中で構成を変えることも簡単に出来ます
詞先の場合はまずどのパターンに当てはまるのかをしっかり考え
構成を決めてから附曲するようにしましょう


今回は昭和時代に流行した名曲の楽曲構成を分析してみました
色々なパターンがありますので是非作曲の参考にしてみてください

一般的に「歌謡曲」「演歌」に分類されている曲は詞先がほとんどです
よって附曲前に構成をある程度しぼりこめます
この構成を決めるか否かでは作業の進み具合がまったく異なってきます

後述しますが「AABA」構成曲でのメロディは2パターン
「ABC」構成曲では3パターンで済むわけです
今回検証した曲の構成はすべてABCの3パターン以下です
主な昭和の「ヒット曲」には4パターン目の「D」メロが出現しないのです

では「ヒット曲」とはどのような要素を持つ曲でしょうか?
これは持論なのですが「〇〇やすい曲」として3つの項目をあげておきます



略して「聴覚歌」...なんちゃってw

「聴きやすい曲」は歌手や編曲の占める割合も高いのですが
基本的にはうるさくなく自然と心に入ってくる感じでしょうか

「覚えやすい曲は基本となるメロディがしっかりしていて
サビの部分などは一度聴いたら忘れられない衝撃が残る曲でしょうか
構成されるメロディの種類も少ない方が覚えやすいと思います

「歌いやすい曲」は音域が広すぎず音程の幅も飛び過ぎないように作られ
かつ小節数も変則にならずテンポのとりやすい曲でしょうね

昭和の名曲にはこの3つの「〇〇やすい」が入っている曲が多いのです
逆に言うと「〇〇にくい曲」「〇〇ずらい曲」は売れるわけがないのです
この「〇〇やすい曲」を「曲の構成」に当てはめながら学んでいきましょう

たとえ「ヒット曲」を目指していないとしても自作曲は多くの人に共感してもらいたいですよね
今回は「曲の構成」だけにしぼって解説して行きます
「メロディ・コード進行・音域」などの作曲講座は別のコーナーで説明します
またあくまでも昭和時代の楽曲の分析なので現代のJ-POPには
当てはまらない場合もあることをご了承ください












日本の楽曲構成にはいくつかの形式が見られます
とくに昭和の歌謡曲や演歌にはわかりやすい定番があります
定石とも言えるこの形式を説明していきましょう

詞には「行」があり作詞者の意思で「5行詞」とか「8行詞」となるのが普通ですが
ここでは完成された曲の構成で「行」の分類をしていきます
基本的には4小節で歌われる歌詞を「1行」と数えます
よって1コーラス内に4小節がいくつあるのかが分類の基準となります
なおサビ前部分やラスト部分では4小節を超えて作られる曲もあります
またリズムのとらえ方で8ビートが16ビートになると半分の「行」になってしまいます

ここで改めて確認しておきますが作曲の基本は4小節での構成です
作曲初心者の場合これを無視して自由奔放に作る人もいますが
リズムに乗れない、覚えにくい、流れに違和感がある、などの結果になることが多いです
「〇〇やすい曲」の基本としてまずは4小節を1区切りとした作曲を心がけましょう

これから紹介する昭和の名曲はほぼすべてが4小節を基本としているお手本のような
曲ばかりですので是非参考にしてみてください

ここでは曲の構成で分類される「行」を「行型」と呼ぶことにします
あくまでも作詞者の考える「行」とは別のものだと考えてください









例として2曲ほど検証してみましょう




歌詞検索サイトでは9行で書かれていますがこの曲は16小節なので4行型に分類されます
小節毎に歌詞を埋め込むとわかりやすいと思います









この曲は20小節で5行型になります
指を折りながらテンポ良く歌ってみるとわかりやすいです




この曲の作詞者(阿久悠)は7行詞のつもりで書いたのかも知れません
また句読点を打ってみると4行詞の可能性もあります
結果は曲の小節数で分類すると5行型に収まっています
作曲者の思い一つで5行型〜8行型など色々な解釈の附曲が出来るのです
作詞者の意図は別としてここでは曲の構成説明のため附曲後の小節数で分類していきます











昭和に流行した歌謡曲ではメロディが2〜3種類で構成されている曲がほとんどです
例えば「AABA」では2種類、「ABC」では3種類ということです
4種類目にあたる「Dメロ」はほとんど出てきません

一般的に「Aメロ」「Bメロ」などと呼ばれている構成を簡略して表示します
例 : Aメロ=「A」、「Bメロ」=「B」など

ここではサビ部分の特定はしないので「S」は使わずに「ABC」で表示します


各曲への歌詞検索は「Uta-Net」を使いました
このサイトはYouTubeにリンクしているので曲の検索にも便利です











昭和に流行した名曲の中で一番多いパターンです
メロディも「A・B」2種類だけなので覚えやすい典型的な構成です
このパターンではほとんどが8行型ですがリズムが「3連」や「16ビート」の場合
16小節に収まってしまい4行型に分類されることもあります

作曲初心者はもちろんですが熟練の方も煮詰まった時には是非おすすめの構成です
作曲の基本となる4小節パターンに当てはめて計32小節で作ってみてください
まさに「シンプル・イズ・ベスト」です

作詞の条件ですが「A」が3回も出てくるので字脚を上手に合わせることが大事になります

この構成の代表的な曲として「いい日旅立ち」をあげておきます



A・ A’・A’’の1行目はすべて同じメロディです
A・Bの最後は「ドミナント」コード
A’・A’’の最後は「ルート音」で完結するという定石でまとめています
詳しくは「コード進行」のコーナーで説明しますが
8小節毎のラスト小節の「音とコード」はものすごく大事です
譜面をUPしておきますので確認してみて下さい

いい日旅立ち_譜面




このパターンの作詞のコツとしては
「A・ A’・A’’」の1行目は完全に字脚を揃えること
2行目は前半は揃えて後半はそれなりに...という感じでしょうか
作詞家の方も附曲の構成を考えつつ詞を作ってみるのも良いかもしれませんね


主なAABAの曲









「AABA」の最後2行が新たなメロディ「C」に変化したパターンです
メロディが1種類増えますが基本的に覚えやすい曲が多いです
ほとんどが8行型ですがC部分が1行の7行型もあります


主なAABCの曲









この構成では「B」がサビになるので繰り返すことでインパクトが生まれます
当然メロディも2種類だけなので覚えやすさは「AABA」並です
このパターンは当たるとビッグヒットにつながることが多いです


主なAABBの曲







ここからは各構成毎に代表的な曲を一曲ずつ紹介していきます








 











 








  


 









この構成は非常に珍しいと思います
他にも検索はしているのですが今のところ見当たるのはこの曲だけです
基本的には6行型の「ABA」に1行足したという感じでしょうか



 









6行型ではまあまあ多い構成です



 









この構成もそれなりに出てきます



 









このパターンは少ないです



 









6行詞ではこのパターンが多く特に演歌ではほとんどこの型です



 









5行型の大半がこのパターンだといえます
最後にサビを持ってくるパターンが多い演歌の附曲方法に適しています



 









5行型でABA構成はかなり珍しいパターンでほとんど見かけません



 







ここからは10行型を紹介しますがやはり「ABC」以内の構成が主です









 











 












 











 











ABC式構成に数多くの種類があることをわかってもらえたと思います
詞を読んだらまずどの構成で何行型にすれば良いのかの目安を立てます
そして最初は基本である4小節単位で附曲していきましょう
またメロディもA〜Cの3パターン以内で収めるようにしましょう
この型にのっとった作曲方法が「聴きやすく覚えやすく歌いやすい曲」になります
まずはこの方法で多くの附曲をして作曲の基本を身につけてください

作詞家の方も作った詞がABC式構成ではどれに匹敵するのか考えてみましょう
また構成を先に考えて「AABA」で作ってみよう...などの試みも良いかも知れません

メロ先の場合は型を決めてから作曲することによって必然的に小節数が決まります
よって深く悩む必要がないので曲を量産出来るようになります


ところで今更ですが...
この「ABC式構成」の「Aメロ」や「Bメロ」という表現は日本だけのものです
英語では主にこのように呼びます
「Aメロ」=「Verse」(ヴァース)
「Bメロ」=「Bridge」(ブリッジ)
「サビ」=「Chorus」(コーラス)


色々な構成でたくさんの「〇〇やすい曲」が出来ることを願っています







※「A’」「A’’」の場合でもすべて「A」で表示しています



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